前回のお話の続きです。
前回は「アイスブレイク」をきっかけに関係を一気にお客様との緊張感を解きほぐす具体的な会話例をお話ししました。
今日は、その次の段階。ラポールを築くためのSTEPです。普段のコミュニケーションでも商談の場でもラポール形成をすることは、その場の空気作りや相手が話しやすくする環境作りにつながります。本音を聞き出したい場面で有効的です。
目次
ラポールとは
ラポールというのは、もともと心理学用語で相互の信頼関係を意味します。
ビジネスシーンだけではなく、どのような人間関係においても大事なのは「質の良いコミュニケーション」です。
その鍵となるのが、ラポールの形成です。コミュニケーションしやすいように空気作りをします。
どのような場面でも初対面では少なからず人は警戒心を持っています。警戒心のまま話をすすめると思うような結果はついてきません。ラポールが形成されていると次のステップに進むにも話をスムーズに進めることができるのです。
この人聞いてくれているかな、面白くないのかな・・・・と思ってしまう相手よりも
熱心に話を聞いてくれる人の方が心を開いて、話しやすくなるような経験ないですか?
それでは、テクニックのお話をする前に大事なことをお伝えします。
テクニック以前に第一印象を見直す
まず、テクニックの前に確認して欲しいことがあります。
テクニック以前に見直すのは、与えている印象について
(自分の印象)
☑︎見た目に清潔感はあるか
☑︎香水、メイクは濃すぎないか(地味すぎないか)
(店舗)
☑︎お店に入りやすいかどうか
☑︎スタッフ同士が私語をして外から見ていて印象が悪くないか
☑︎清潔感があるか、整理整頓されているか
一流のセールスや営業は第一印象がどれだけ重要かをわかっているために、やはり一目見ただけでもオーラを感じることができます。
また、売上の良い店舗は、お店の空気が良いのも共通点としてあげられます。
実は本来のラポールとは理屈ではなく生理的なものに近い考え方なのです。
第一印象で違和感を与え、損をしないためにも第一印象を見直しましょう。
それでは、ラポールについて詳しくお話しします。
ラポール形成の3つの要素
ラポール形成には大きく分けて3つの要素があります。
①尊重すること
②類似性
③ペーシング
①どのようなコミュニケーションもそうですが、前提として相手に興味を持ち尊重することがその後の関係性に大きく響いてきます。このような土台があると相手の話に耳を傾けようとし、相手の共感を得られラポール形成につながります。
②類似性というのは相手との共通項を見つけることです。話す相手との共通項があると心理的な安心感が生まれるのは人間の本能です。
③ペーシングというのは相手と呼吸や姿勢、話し方、テンポを合わせていくことです。言語コミュニケーション、非言語コミュニケーションで相手に合わせていくことで心理的な距離感を縮めます。
共通項の話題を探す
②類似性について詳しくお話しします。
最初の会話のネタに困る人がとても多いのですが、まずは共通項を探してみましょう。
出身地、共通の趣味、共通の好み・・・・・
人は、共通項があると安心感を覚え一気に心理的距離が近くなります。
皆さんもこのような経験はありませんか?
知らない人ばかりの場所で、同郷の人を見つけると嬉しくなる・・・
など何か共通するものを見つけると親近感がわくのです。
例えば言葉から、関西弁だと感じたら「ご出身は関西なのですか?」「私も関西出身です」などと共通項を見つける質問をします。
実は、質問すること以外で簡単に共通項を作ることが出来ます。
共通項を作り出す言葉
お召し物を見て「今日お召しのブルーのネクタイとても素敵ですね。私もこのようなブルーが大好きです」と、「私も」と言うことで自ら共通項を作り出すのです。
この場合、本当にブルーがお好きかどうかは問題ではありません。
もしそんなに好きな色ではないと言うことであれば、「そうでしたか」と笑えば場の空気も和みます。
場の空気を和ませ、心の距離を縮めることが目的です。
また、商談、営業の場合はお会いする前に先にリサーチしておくのは必須です。その時点で話題として避けるテーマ、ご趣味、分かるものは事前準備として集めておきましょう。
相手の得意なネタで会話する
人は自分が得意なことや、教えたいと思うことであれば口が滑らかになるものです。
一流のセールスは、お客様に話してもらうための話術が優れています。
相手が得意とする話題を考えてみましょう
・業界のネタ
・相手の興味のあること
ここで注意して観察していただきたいのが
お仕事ネタ/プライベートネタ
どちらが心地よさそうにお話しされているかということです。
人によっては休日に何しているか、趣味が何か、家族についてなどお話しされること
または、お仕事のネタを嫌がられる場合もあるからです。
どちらにしても大事なのはお客様が得意とされているネタに話を振っていくということです。
もし、その感覚を掴むのが苦手なら一度自分だったらどうかを考えてみるといいでしょう。
自分が初対面の相手と距離を縮めることができるのはどんな時か
相手がどんな会話をしてくれたら自分なら心を開けるか
ペーシングの4つのテクニック
①ミラーリング
②マッチング
③バックトラッキング
④キャリブレーション
①ミラーリングとは、相手の表情や言葉、動きを鏡のように模倣するテクニックです。相手が飲み物を飲むと、同じタイミングで飲む、相手が真剣な表情をしたら同じような表情で対応し、笑顔であれば同じタイミングで笑顔で対応します。
真似るのは、表情・姿勢・仕草・ジェスッチャーなどが挙げられます。
②マッチングとは、相手の話すスピードや、声のトーンなど相手に合わせることで、リズムを合わせていきます。ここでは視覚情報以外を真似ることです。話すスピードやトーンが違う相手と会話していると疲れてしまうのは、この非言語情報がマッチしていないからです。
③バックトラッキングとは、相手が言った言葉をおうむ返ししたり、「〇〇ということですか?」と要約することです。ここで注意が必要なのは、「仕事」と相手が言っているのに「ビジネス」など意味は同じでも言葉を変えないということです。相手が使っている言葉を使います。専門用語に置き換える人が多いので注意が必要です。
④キャリブレーションとは、聞き慣れない言葉だと思いますが相手の表情やトーンなど言葉以外の情報から相手の心理を読み取るということです。「元気です」と言っていても、表情がなんだか暗かったら「疲れているのかな」と相手を思いやった行動を取ったり、「温かいお茶をどうぞ」と一言添えてお茶を変えたりすることで思いやりを形にして相手との距離を縮めます。
これらのテクニックを使うことでお客様との距離を縮め、信頼関係を築いていくことができます。
商談の本題に入る前に、お客様に安心感を与える場作りを心がけてみてくださいね。
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各社のお客様を想定した会話内容などカスタマイズもしております。